詩が生まれる場所

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アマン・スタジオの写真、いくつかウエブにアップしました。まだ他にも出てきます。

それにしても、このスタジオの入り口付近と窓の周囲には、何というか不思議な詩的な空気が漂っていて、気がつくといつもこの入り口のドア周辺と窓の写真ばかり撮っている。11月の初冬の青灰色の翳りのある空気と、夏の雨上がりの明るい光の下と、同じ場所で同じものを撮影しても、光の色と影の違いが写真にくっきりと出るのが面白い。

アマン・スタジオというのは不思議な所で、スペース自体はそんなに広いわけではないし、こぢんまりとしたプライベートな雰囲気の空間なのだけど、ここにいるとなぜかイメージがどこまでも広がっていくような気がして、いつ来ても居心地がよい。何の変哲もない窓すら、じっと見ていると、どこか果てしなく遠い場所に繋がっているような気がするし、詩が生まれる場所とでもいうか、ウィーンの音楽のインスピレーションが宿っている場所というか、ほんとに特別な場所だと思う。フェネスも最近はこのスタジオに間借りして曲を作っているみたいだし、キース・ロウもここで演奏するのがとても好きみたいだし、これからもここでどんな音楽が生まれるのかとても興味深い。1年を通して気の抜けた写真ばかり撮っているなあと自分でもうんざりすることが多いのだけど、このスタジオを訪れた時だけはなぜか気持ちがぴりっと引き締まって、姿勢を正して写真を撮りたい気持ちになる。自分の中から発する波長とぴたりと合う空間にいるのが感じられて、心の目が開く瞬間というのはこういうことを言うのかもしれないなと思ったりする。