アメリカの花粉症


今年の春は、アメリカでも花粉が猛威をふるっていて、ニューヨークやニュージャージーでもなんだかものすごい量の花粉が飛びまくっているらしい。今週の月曜日、天気がよかったので一日窓を開けていたら、午後になって急にひどい咳が出始めて、あっという間に痛みが肺に広がって呼吸が苦しくなってしまった。日本でも花粉症に悩まされていたし、先月からこちらでも花粉症がひどくなって辛いなあと思っていたのだけど、まさか呼吸ができなくなるとは。肺全体が焼けつくように痛くて、まじで死ぬんじゃないかと思いました。翌日の朝、アレルギー専門医にあちこち電話をかけまくって、ようやくマンハッタンで今日中に診てくれるという医者を見つけたので、さっそく午後診察にいったら、花粉症で気管支ぜんそくを起こしていますよと言われてびっくり。ぜんそくなんて今まで起こしたことなかったのだけど、こんなに苦しいものだとは知らなかったです。アレルギー源をテストするのは来週(市販の抗ヒスタミン剤を飲んでいたので、その影響が消えるまでは4日くらいアレルギー源の検査ができないらしい)ということで、とりあえず気管支ぜんそくの薬(予防と炎症を抑える吸入ステロイド薬と、発作時の吸入薬)を処方してもらってきました。アーストワイルで健康保険に入っているので、高い医療費もカバーしてもらえてよかったです。健康保険があるレーベルなんて、ほんとに感謝ものです。ちなみに吸入ステロイドというのは名前はちょっとこわいけれど、実は副作用もほとんどなくて、ぜんそくの治療薬として今もっとも効果があるとか。

今ちょうど、アメリカ東部ではオークと桑の木の花粉が大量に飛んでいるのだけど、今週の月曜日というのは「もっとも高い」という数値の2倍以上の花粉が飛んでいたらしく、ニュージャージー地域では数千人のアレルギー患者が医者や病院に殺到したらしい。ぜんそくを併発させてしまった人もけっこういるとか。このマンハッタンに近いジャージーシティはさほど樹木が多くないのにこれほどひどい症状が出たのだから、プリンストンなど樹木の多い郊外では想像を絶する花粉量なのではないかと空恐ろしい。ダウンタウン・ミュージック・ギャラリーのバイトの男の子はこの日にニュージャージーの親戚を訪ねていたら、皮膚が真っ赤に腫れ上がってしまって、やはり救急で病院に駆け込んだとか。

たかが花粉症とあなどっていたら、これは命に関わるなと実感した。インフルエンザとか風邪なら、自分の体が戦っているのがわかるし、勝てそうか負けそうかというのがわかるから抗生物質などで対処ができるのだけど、この花粉症が悪化している時は、自分の体が戦っているという気がしないので、かなりこわい。免疫システムがきちんと働いているという感じがしないのだ。東京でも今年は去年の42倍の量の花粉が飛んでいたというけれど、もしまだ花粉症で苦しんでいる人がいたら、ぜんそくなどを起こす前に絶対病院にいってきちんと治療を始めた方がいいです。症状にあった薬さえきちんと服用していれば、日常生活にも差障りないし、この花粉症というのは、おそらく異常気象のせいで毎年ひどくなっていくのではないかと思うし、早めに身を守っておいた方がいいと思います。アメリカでは、来週にはこのオークの花粉が一段落するらしいけれど、その後は芝生の花粉が飛び始めるらしく、これはさらに強烈で秋まで続くらしい。冬にかなり雪が降って例年よりも湿気が高いことと、4月まで肌寒かったのが急に温かくなったのが、今年の花粉の大量発生の原因らしい。ノストラダムスが予言した「空から降ってくる恐怖の大王」って、もしかしたら花粉のことなんじゃないかと思ったり。

ちなみに、アメリカでは「アレルギー専門医(allergist)」というのがあって、そこに直接行けば診察もテストも治療も受けられますが、日本では眼科や耳鼻科に行っても、抗ヒスタミン剤を処方されるだけでアレルギー源の皮膚テストは希望しないとやってもらえないようなので、アレルギー源のテストもなるべく希望して受けておいた方がいいです。