雑感


本当に創造的な音楽を作れるミュージシャンというのは、難解なことを考えなくても、自然に天然の「勘」で音楽を作れて演奏できてしまうものだと私は思っている。日本では、中村としまるやSachiko M吉田アミといった人たちの演奏のような。ある特定の場で、その空間の空気を感じ取り、演奏者としての自分の中に共鳴させ、その摩擦や融合を通して生じたものに「かたち」を付けるかのように、音楽を演奏する。無駄なものは一切付加されず、最もピュアな形で音が生まれる。そういう感じを受けられる演奏者が好きだし、そういう人たちの音楽に出会っていけたらと思う。いかなる芸術も「天然」であるべきだと思っているので、人為的に操作されたものには拒絶反応を起こしてしまう。ジャンルを問わず。音楽を聴く時は、演奏自体を聴いているというよりも、その演奏を通して表現された「かたちのないもの」を共有するつもりで聴いている。本当に意味があるのは、その「かたちのないもの」であって、それは安易に言葉で表現できるものではない。だからこそ音楽という「かたち」が必要になるのだと思っている。