またもや料理の話


和食とともにこの頃懐かしくなるのは、韓国風焼き肉。ニューヨークでもコリアンタウンのような通りがあって、そこに行けば韓国料理を食べられるし、最近イーストヴィレッジには「牛角」もできたそうなので、焼き肉を食べにいくことは可能なのだけど、スーパーで肉を買って自分で作れば、かなり安上がりに日本風の味に作れるのではないかと気がついた。せっかくアメリカなんだから、日本と違って牛肉も安いことだし。

ということで、今日はスーパーで買ったステーキ用のサーロイン牛(450g)を肉たたきで薄くのばしてから焼き肉サイズにカットした後、醤油大さじ4、砂糖大さじ1、酒大さじ1、酢大さじ1、はちみつ大さじ1弱、コショウ小さじ1、ショウガの絞り汁大さじ1、梨のすりおろし1/4個分、ネギ(Scallion)のみじん切り大さじ2、白ごま大さじ1.5、ごま油大さじ1.5、唐辛子の小口切り2本分を混ぜた浸け汁に6時間漬け込んで、グリルで焼いた。焼き具合は、中心がピンク色のミディアム状態がおいしい。この浸け汁は、さまざまな韓国風焼き肉のレシピを調べて、さらに自分で何度か分量を変えて試してみた結果、いちばんおいしいと感じた組み合わせである。

付け合わせには、白いご飯もいいけれど、キムチピラフがとてもよく合う。チキンスープの素と白コショウと塩少々で炊いたジャスミンライスの冷やご飯を、ニンニクとニンジンとネギとタマネギとキムチのみじん切りと卵と一緒に炒めて、仕上げにパセリの葉を散らす。甘辛い味付けの焼き肉とキムチピラフは、なんとなく石焼ビビンバを彷彿させる風味もあって、とてもおいしい。すりおろした梨の甘みが、なんともいえない自然な甘みを醸し出してくれるのと、酒と酢と蜂蜜が肉を柔らかくするような気もするし、あと決め手は白ごまとごま油の風味である。こういうちょっとした素材の味わいや香りというのも、日本にいた頃には案外気づかずにいたけれど、アメリカのようなおおざっぱな国にいると、こうした何気ない隠し味の効果にいちいち感動してしまう。手が込んでいそうだけど、実は材料さえ冷蔵庫にあれば、肉だけ買ってきて簡単に作れるし、材料も1人分6ドルくらいしかかからない。ちなみに私がよく行くスーパーでは、サーロイン牛はステーキ肉の中ではいちばん安い部類で、リブステーキ用というやや高めの牛肉を使うと、いわゆるカルビ肉と同じ味になる。