No Fun Festival写真その2


最終日の Sightings/Tom Smith、Peter Rehberg/Lasse Marhaug のデュオ、 Fe-mail(ノルウェーの女性ラップトップ・デュオ)の写真です。

(写真上から:Sightings/Tom Smith、Peter Rehberg/Lasse Marhaug、Fe-mail)

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午前0時半にブルックリンの会場に到着したら、ちょうどピタたちの出番の2つ前のバンドが演奏をしているところでした。カウンターの片隅におとなしく集っているピタとフロリアン・ヘッカーを発見。PitaとLasse Marhaugのデュオは午前2時頃に始まる予定とのこと。(おいおい)

・・・SightingsというのはNYブルックリンを拠点に活動する今注目のノイズロックバンドだそうで、西海岸の伝説的なヴォーカリストTom Smithのとの共演。って、実はどっちもよく知らないのですが、揺るぎのない重厚なビートが心地よく、ノイズバンドといえどもさすが伝説と呼ばれるだけのことはあると納得させる安定感のある演奏でした。(ヴォーカルはクッキーモンスターみたいなドスの利いた声。)変に実験的なことを取り入れたりするより、こういう野太いロックの血筋を引くまっとうな路線の正統派ノイズバンドの方が、アメリカ人には合っているような気がします。

・・・Peter Rehberg/Lasse Marhaug のラップトップ・デュオは今回のフェスティバル中でいちばんの轟音だったそうです(←主催者談。)メゴのボスとノルウェーのJazzkammerのメンバーのデュオで、地の果てから不穏な空気に乗ってゆっくりと空を飛んできた魔王の降臨を思わせる重厚なサウンドに観客もふっとんでました(耳栓使用者多し)。巨大スピーカーの目の前に立って聴いていたのですが、スピーカーから熱風とともに地鳴りのような振動が伝わってきて、その気圧に押されて2メートルくらい後ずさりさせられ(というか吹き飛ばされ)てしまいました。過去に聴いたメルツバウのライブ以来のおそらくもっとも凄まじい轟音かも。演奏した当人のピタも「あれ耳がおかしくなっちゃったよ」としばらく聴覚が戻るのを待ってました(おいおい。)昨年5月のケルンでのAMPLIFYフェスティバルでは借りてきた子羊のようにおとなしい演奏をしていたピタでしたが、今回はまさに本領発揮!これぞメゴ!という感じで小気味よい爆音を響かせていました。Jazzkammerは4月に来日するそうです。その次のFe-mailはノルウェーのラップトップ女性デュオで、今回のフェスティバルでもかなり注目されていました。サウンド的にはメゴっぽいというか、メゴから出ていそうな感じの音楽。

・・・アメリカ人のファンの多くは、どうやらメインのオハイオ州などから来ていた中西部ノイズバンドが目当てだったようで、ウィーンのメゴやノルウェーからの電子ノイズ組にはあまり興味がないらしく、両者のライブが始まる前には客層ががらりと入れ替わるのが面白かったです。来ていたアメリカのノイズファンの感想を聞くと、Jazzkammerが嫌いな人が多いのに驚きましたが、逆にウィーンやノルウェーのサウンドが好きな人(私など)は純アメリカ中西部産のノイズバンドにはあまり興味がないようで、この辺の客層の違いに、一口にノイズファンといえども好みはさまざま、ノイズの世界も奥が深し、という事実が表れていて興味深かったです。



■No Fun Festival 2005のまとめ

・・・No Fun Festivalは酔っぱらいやラリッた客が暴れたりしてハチャメチャなことも起こるし時には公序良俗に反するようなとても公の場では書けないような空恐ろしい現象も発生したりするので、ちょっと危ない場所なのですが、そういうことが起きるのはなぜか中西部のノイズバンドの出番の時ばかりで、メゴやノルウェー組の出番の時には観客もきちんとしたしらふの若者たちがおとなしく演奏に聴き入っていて、マリ○ナの匂いなんかもしなかったし観客の中からボンデージ姿のお姉さんが躍り出てくるようなこともなかったし、危ないことが起きそうな気配はまったくありませんでした。そういう極端にファン層の違う多様なバンドが集まるというところにこのフェスティバルの面白みがあるのですが、自分の好みの演奏者の時をうまく狙ってその時間だけ見に行くというのが賢い利用法のようです。(その頃合いを見計らうのがけっこう難しく、間違えるととんでもない騒ぎに巻き込まれる危険があるので要注意。)何しろ、メゴのヘッカーやピタのような濃いキャラのミュージシャンがおとなしい普通の人に見えるような場所ですから。

毎年何が起こるかわからないフェスティバルですが、それでも今のアメリカのおそらくもっとも熱いノイズロックシーンをじかに体験できる貴重な場所なので、一見の価値はあるかも。ちなみに最終日、最後のライブが始まる前に会場を出たのですが、それでもすでに午前3時半を超えていました。「あんたニューヨークでなにやってんのよ」という親のあきれた声が聞こえてきそうなこなさそうな(汗)。