noise, noise, noise


そもそもノイズとはいったい何なのだろう…と考え始めたら眠れなくなって朝の5時になってしまった。ああいうフェスティバルを深夜(というか朝方)まで体験してしまうと、日常生活に戻るのが大変である。

ノイズ音楽にもアナログなノイズがありデジタルなノイズがあり、生楽器や人の肉声から出すノイズ(吉田アミ等)もありそれらを電子加工するノイズもあり、ウィーンにも電子ノイズ(mego等)があれば生楽器による即興ノイズ(ブルクハルト・シュタングル等)もあり、ノルウェーやスイスなどヨーロッパの電子ノイズもあり、アメリカでもNo Wave系譜を引くノイズロックシーン(NYのSonic YouthやSightings等)もあれば、同じNo Waveといえどもシカゴやフロリダやサンディエゴにもまた別のシーンがあり、中西部の伝説のノイズバンドといわれる人たちのシーン(オハイオ州出身のバンド等)もあり、NYではNo Waveと並んで生まれたジョン・ゾーンを中心とするラディカル・ジューイッシュ&ツァディック系のシーンもあれば、はたまた最近のLAなどには一人で家に籠って電子音ドローンなどをこっそり作っている孤立したアーティスト(ジョー・コーリー等)もいるし、日本にも70年代に始まったノイズ(非常階段、メルツバウ灰野敬二等)もあれば、はたまた現代の大友良英や杉本拓らがやっている音響シーンもあり、音響といえばアルゼンチンなど南米にも音響シーンがあるしなあとか、ニュージーランドやオーストラリアにもそういう人たちいたっけなあとか・・・考え始めたらもう眠れない。

ジャンル分けが不可能なようでもあり、いや絶対にそれ違うジャンルだよという気もするし、メタルコアデスメタルとノイズはどう違うのだろうかとか、アーストワイルははたしてノイズだろうかとか、ノイズと現代音楽との境界線はどこにあるのだろうかとか、ノイズにも即興と作曲ものがあるしなあとか。よくわからないけど自分がいちばん好きなキーワードはたぶんmegoとウィーンと電子音系かなとか、ドローンとかもいいよなあとか。こうして思いつくものをリストに挙げてみても、「あのー私たちも一応ノイズをやってるんですけど…」と名乗りをあげてくるバンドもいるかもしれないし、「おいおいノイズの連中と一緒にするなよ」と不平を言う人もいるかもしれない。一口に「ノイズ」と言っても、頭に思い描く音楽はたぶん人それぞれに違うんだろうなとつくづく思う。ふだんはジャンル分けなんか気にしないでひたすら好きな音楽を聴いているだけなので、たまにこんなことを考え始めるともうわけがわからなくなってしまう。世界中で起きているノイズシーンを完全に網羅するなんて絶対不可能だよという気がするし、まあ所詮ノイズなんだからなんだっていいやという気もするし。

明日はExperimental Intermediaで、MegoからもCDを出しているフロリアン・ヘッカーと刀根康尚のデュオがあるので聴きに行く予定。今月はほんとウィーンのメゴ系アーティストがいろいろ来るから嬉しいけど、これはまじで耳にこたえそう・・・。(耳栓必須かも。)