Ricky Gervais Live in NYC

イギリスの人気コメディアン、リッキー・ジャーヴェイス(Ricky Gervais)のライブショーの初日のチケットを運良く義弟からもらったので、マディソン・スクエア・ガーデンで観てきました。

リッキー・ジャーヴェイスは、あのゴールデン・グローヴ賞等を獲得したイギリス版TVコメディ『The Office』の主役(と演出と脚本)を務めたコメディアン。テレビの役柄では、下品なおやじギャグで常に場をしらけさせる、さえない上司役を演じていたけれど、あのジョークの外し方には、“ここまでやったら役柄上だけでなくテレビの視聴者からもとことん嫌われるのではないか…”という崖っぷちの所で演じているような鬼気迫るものがあって、これはただならぬ親父が出てきたぞという印象を覚えた。演出家/脚本家としても実に良いセンスを備えていて、英国版『The Office』のシリーズを、あれほど人気が出ていたにも関わらず、すんなりと短いシリーズと最後のクリスマス編のみで終わらせてしまったところも粋である。これのコピーとして制作されたアメリカ版『The Office』の方は、エピソードを延々と引っ張るようにシリーズが続き、水で薄めたアイスコーヒーのように味気なくなっていったのに比べると、この英国オリジナル版の終わり方は実に潔かった。

リッキー・ジャーヴェイス、見かけは中年太りのさえないコメディアンという風情なのだけど、ステージに立つと次から次へと切れのいいジョークを連発して、そのタイミングがわざとらしくも飛ばし過ぎでもなく、実にそつなく粋だった。大物だからという傲慢さも全くなく、観客(5000人程度)と同じ高さに立って話しているという自然体にも好感を持てた。NYで初めてのライブショーということで、観客の方が終始興奮気味で、60点程度のギャグにも100点満点位の笑いが飛び出すなど、「それ反応のしすぎだよ」と思う部分もあったけれど、全体的には7割位がそこそこ面白いギャグ、3割が爆笑に値するギャグという構成で、そのあたりのメリハリもうまかったと思う。今回のNYでのライブショーは、11月から始まる新しいコメディ番組(リッキー・ジャーヴェイスがホスト)で放映されるそう。

ちなみに、今日の前座を務めたのは、TVコメディ『Lucky Louie』のLouis CK。この人も、さえない親父キャラなのだけど、ユーモアのセンスはなかなかで、最近のコメディアンの中では特に気に入っている一人。ただ、客席がやや離れていたので、どちらのショーも顔の表情がよく見えなかったのが残念。やはり、コメディ・ショーは、小さめの劇場で観るのが良いのかも。


写真上:Ricky Gervais、ステージに登場

 

写真左:Louis CK 右:Ricky Gervais

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