ニューヨークの日本人


今年からニューヨークの日系ペーパーに掲載を始めたNY在住日本人のインタビューコラムが、ようやく10人目を超えました。

このインタビューを通して出会った人々(主にアーティスト)の共通点は、日本人ともアメリカ人とも違う「ニューヨークの日本人」とでもいえる新しい特質を備えた人々で、外国生活に適応する柔軟性、多国籍文化を受け入れる寛容さ、困難な状況を耐え抜く持久力とユーモアの精神を持ち、たとえ外国で暮らしていても、日本人としてのアイデンティティーを持ち続けていることです。皆それぞれに、ニューヨークという厳しい社会で生き抜きながら、自己の作品創りや活動を通して、外界や自己の内面に平和と調和をもたらそうとしているのを感じます。

日本という国と文化に根づいて生きている人々に、もし特定の「色」がついているとしたら、彼らの場合は、いわば色のない透明な容れ物の中に日本のエッセンスが凝縮されて詰まっている、という印象を受けます。日本人としてのアイデンティティーや美意識を強固な意志で保ちながらも、どこか別の場所に立ち、自分や外界を眺めている。日本を捨てたというよりも、日本を離れて、自分自身の中に「日本」を再発見し、自分なりに日本を取り入れて生きている。そして、子供が何かに夢中になるような真剣さと純粋なまなざしで物事に取り組んでいるのも、彼らに共通する特徴です。

ニューヨークという場所で、アートや音楽などの自己表現を通して何かを創作している日本人が、その個人ならではの美意識や価値観で、アメリカで何を感じ、アメリカにどんな影響を及ぼし、どんな感化を与えているのか。外国という環境の中で初めて見えてくる「日本人が持っている特別な力」とは何なのか。そうしたことを発見したくて、このインタビューを続けています。


●過去に掲載されたインタビュー記事はこちら。
http://home.att.ne.jp/theta/ny-jazz/interview_column.html