Singapore Noodle


去年の7月にウィーンに行った時に、スタジオ録音の合間に食べに行った近所のアジアン・レストランの「シンガポール・ヌードル」というのが何だかとてもおいしかったので、料理の本を探して作ってみた。ウィーンは最近アジア料理や和食のレストランやピザ屋がなぜかたくさんできているので嬉しい。


シンガポール・ヌードルは、ベトナム料理にもよく使われる春雨のようなバルミチェリ(rice vermicelli)という細めんを使ったカレー風味の焼きそばで、タイ料理やインド料理に比べるとマイルドで日本人にも親しみやすい味だ。バルミチェリの乾麺は沸騰している湯に5分ほど浸して柔らかく戻し、水気を切っておく。エビは殻をとって2cmくらいに切り、豚肉は細切りにして、各々に少量の酒をふっておく。タマネギとニンジンとさやえんどう(又はインゲン豆)は細切り、ニンニク2片はみじん切りにする。中華鍋に油を熱し、エビと豚肉とニンニクのみじん切りを色が変わるまで2分ほど炒めてから取り出しておき、同じ鍋に油を足してタマネギとカレー粉大さじ1を中火で2分ほど炒めた後、ニンジンとさやえんどうと砂糖小さじ2と塩小さじ1と水少々を足してさらに炒める。野菜がしんなりしたら、バルミチェリの麺と醤油大さじ1を加えて、炒めておいた豚肉とエビも混ぜて、塩こしょうと砂糖で味を整えて完成。


日本やアメリカでも簡単に揃う素材で作れるのに、見た目や味はいかにもアジア風エスニックでとてもおいしい。味が濃すぎず辛すぎず甘すぎずの中庸さがバルミチェリの麺の細さと相まって、ほんわりと温かい食感を醸し出している。バルミチェリの麺が手に入らなければ、エンジェルパスタの細麺を代用しても合う。カレー粉は市販のものでもいいけれど、できればインド料理の香辛料(クミン、コリアンダーターメリックガラムマサラ、フェヌグリーク・リーフ、シナモン等)を好みの割合で混ぜて使うとおいしい。醤油は日本の醤油より、やや塩分が少なめで味がマイルドなタイや中国の醤油がよく合う。野菜や肉は同じ大きさの細切りにするのが調和のとれた味を引き出すコツのよう。もし手に入れば、炒める時にもやしを加えたり、仕上げにネギの細切りをぱらぱらと乗せると、さらに本格的なシンガポール風になります。


ちなみにこの作り方は、「The Essential Asian Cookbook」というアメリカの料理本のレシピを参考に、若干味付けと材料を変えてアレンジしたものです。この本は、中国、インドネシアシンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ラオスカンボジアベトナム、韓国、日本、インド、パキスタンビルマスリランカの名物料理のレシピを各20品目くらいずつ紹介しているのですが、(日本料理以外は)どれもなかなかおいしそうなレシピです。


ちなみにデザートは、アメリカでは日常めったに食べられない、あこがれの日本のモンブランイーストヴィレッジの「パンヤ」で買ってきて食べました。このパン&ケーキ屋の食パンと和風ケーキは日本と同じ味がしてまさに感涙ものです。