今住んでいるアパートは大家さんが改築して売りに出すことになったので、近所で新しいアパートを探すことになった。ジャージー・シティは今バブルの全盛期なので、古い煉瓦作りの建物が次々と改装されて売りに出されている。このアパートもかなり古い造りなのだけど、室内を全面改装して10倍の値段で売りに出せば、ちゃんと買い手がつくというからすごい。マンハッタンのアパートに比べると格段に広いし、地下鉄の便もよいので、最近はマンハッタンから移ってくる人も多い。

ケーブルテレビの63チャンネルで毎日、朝と夜に1時間ずつ日本のフジテレビの番組やニュースやドラマが日替わりで放映されているので、最近はよく観ている。アメリカにいて日本のバラエティ番組を観ているというシチュエーションは、かなり不思議である。タモリとかビートたけしとか泉谷しげるって外国で観ると相当に強烈なキャラだなあとつくづく思う。日本は実に個性豊かでおもしろい、と日本のテレビ文化を生まれて初めて味わい深く実感している日々である。アメリカはまじめな番組とお笑いの境界線がくっきり引かれているので、お笑い系のタレントがニュースを伝えるなんてことはまずありえない。そういうのは、けっこう退屈なものだなとも思う。ジャンルや対象年齢層にさほどきびしく境界を引かない日本の文化というのは、ある意味ですごい。

同じチャンネルで週に1回、ウィーンの文化やニュースを紹介するオーストリアの番組もあって、これも気に入っている。いかにもオーストリアらしい清楚な作りの番組で、派手な宣伝もなければ大げさな笑いもない、実にシンプルですがすがしい番組だ。オーストリアというのはどこか日本に通じる奥ゆかしさがある。アメリカにいて、いろいろな国のテレビを観ていると、そういうお国柄がありありと伝わってくるのでおもしろい。