『蕎麦と薔薇(Soba to Bara)』その後

先月リリースされた吉田アミ/中村としまる『蕎麦と薔薇(Soba to Bara)』、発売早々欧米を中心に売れ行きもよく、すでにリスナーからの高い評価も多々入ってきています。今のところ、CD購入者の大多数の人が「衝撃を受けた」といって、今年の最重要CDの1枚だとみなしてくれています(感謝)。

欧米のリスナーの感想としては、「実験即興音楽の作品の中で過去にない最高の傑作だ」とか、「別々に録音されたとは思えない瞬間があちこちにあって、テレパシーみたいなものを感じた」とか、「これは獣のような凄い音楽。このCDには、冷たさとか不毛さなどは全くない。『Tears』以来の吉田アミ、そして中村としまるによる最高の作品だ」などの感想が寄せられています。あと、面白いところでは、「これを聴きながら眠りこんでしまった後、気がついて起きたら鼻血まみれになっていた」という小学時代以来鼻血を出したことがなかったという音楽ライターの感想もありました。

CDに収納された演奏者2人の日本語ライナーノートも、海外のCD購入者らから英訳で読みたいとのリクエストが多かったので、英訳して〈erstwords〉のサイトにアップしました。英訳を読んだリスナーからは、「吉田アミの文章は音楽のようだ。Beckettianを彷彿させる所もあるし、Gertrude Steinの詩を彷彿させる所もある」「ナタリー・サロートの小説を読んでいるようだ」とか、「中村としまるの文章も、吉田アミの文書も、どちらも違った意味での詩的さがある」とか、「中村としまるがビールについて書いた文章も読んでみたい」とか、「オンラインで彼らのライナーの英訳を読んだらCDを買いたくなった」という人もいました。欧米人には、こういう日本語の文章のしみじみした味わいは伝わらないのではないか…と心配していたのですが、意外にも深く鑑賞してもらえているようで、感無量です。でもやはり、このライナーノートの価値は、日本語の文章を引き立たせる字体とレイアウトの美しさにもあるので、日本の皆さんはぜひ現物を手にとって鑑賞していただきたいです。(IMJのショップでも売っています。)

戸塚泰雄さんによるカバーデザインも欧米で大変評判がよく、蕎麦と薔薇の書体の美しさと形の面白さ(蕎麦の『蕎』と薔薇の『薔』が、偶然にも良く似ていること、家の上を飛行機が飛んでいるような絵を連想させることなど)が、大変好評です。これはひとえに、ミュージシャンとデザイナーの皆さんが、欧米向けのCDだからと言って妥協せずに、彼らの美意識とコンセプトをしっかり貫いてくれたおかげだと感謝しています。

ちなみに、現時点でウエブに載っている主なCDレビューは下記の通り。グーグルの自動翻訳にかけて読むと、凄いワイルドです。

http://olewnick.blogspot.com/2009/04/ami-yoshidatoshimaru-nakamura-soba-to.html
http://dustedmagazine.com/reviews/4974
http://broadlyconstrued.wordpress.com/2009/04/11/soba-to-bara/

アメリカの音楽掲示板〈i hate music〉でも、熱く語られています。あと、『WIRE』誌にもレビューが載る予定らしいです。

 

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