NYタイムズ紙の記事(2/21付)より

先日も触れたアンドリュー・ディアンジェロの脳腫瘍は、術後の検査でガンだと発覚したそうです。彼を含めてNYのジャズ・ミュージシャンのほとんどが医療保険に加入していない現状について、今日のNYタイムズ紙に詳しい記事が載っています。


記事によると、ベーシストのデニス・アーウィンも目下、脊髄腫瘍で闘病中で、今週月曜にヴィレッジヴァンガードでは、ジョン・スコフィールドらによる募金集めのコンサートが開かれたそうです。このライブが募金集めの目的と音楽的な面の双方で大成功だったそうで、3月10日には、さらに大規模なベネフィット・コンサートがウイントン・マルサリスとジャズ・アット・リンカーンセンターのバックアップも得て開催されるとか。ちなみに、後者の募金はジャズとブルースの演奏家をサポートする非利益団体「米国ジャズ基金」に寄贈されるそうです。

アンドリュー・ディアンジェロも、今回の脳腫瘍の手術にかかった費用等の財政的支援を、上記の「米国ジャズ基金」、「MusiCares基金」、「全米レコーディング芸術科学アカデミー」という3つの団体から受けられたそうです。とはいえ、今後の長い闘病生活とアメリカの膨大な医療費のことを考えると、一般からの寄付金や各地でのベネフィット・コンサートの収入が大きな助けになると思います。アンドリュー・ディアンジェロのための米国内や欧州での募金集めコンサートの日時や場所は、下記の本人のサイトに載っています。
http://www.andrewdangelo.com/


上のNYタイムズの記事でも述べられていますが、アメリカのジャズ・ミュージシャンのほとんどが医療保険には加入していないため、彼らの身に何かあった場合は、上記のような基金に頼らざるを得ないのが現状のようです。米国には、個人でも加入できる「フリーランサーズ・ユニオン」という医療保険の形態もあるのですが、それでも月数百ドルはかかるので、それにすら入れない人も多いようです。米国は、基本的に勤務先の会社を通して医療保険に加入する形態が主なので、フリーランサー用の保険というのは、あることはあるものの、ごく限られた内容になってしまいます。

上記の各支援団体がどれだけの規模の資金を持つのか知らないのですが、米国のミュージシャンを支えていく上で個人にできることといったら、やはりこうした支援団体に募金したり、ベネフィット・コンサートに行って募金することくらいでしょうか。あとは米国の医療保険が、もっとフリーランサーや低収入者にも手の届きやすい間口の広いものになってくれることを、次の大統領の政策に望むばかりです。