Endless Summerリミックス盤


2カ月ぶりに戻ってきました。超多忙の日々に、文章を書くということについて、いろいろ考えさせられたあげく、原稿を片っ端から書きなぐる仕事からは下りて、何か目的をもって続けられるような、本当にやりたい仕事だけを受けることにしました。印刷媒体の活字ならではの日本語の美しさに再感動しながら、今は1つ1つのコラムをいとおしむように書いています。


Editions Mego(メゴの新名称)から届いたフェネスの「Endless Summer」リミックス盤。1曲1曲に対するフェネスの深い愛着が伝わってくるような、手塩にかけたリミックスという感じがとても良いです。曲のアレンジはそのままで、細部のサウンドを、まるでマクロのスローモーションで味わっているかのような感覚でじっくり聴けるのが嬉しいです。一生に一度しか体験できないかもしれない貴重な時間を、心にしっかり刻印しようとしている時の気持ちのよう。


2年前の夏にウィーンでメゴのオフィス(ピタの自宅)を訪れた時、「Endless Summer」のオリジナルCDの在庫がもう8枚くらいしか残っていないのを見て、ああもうこれしか残っていないのかと残念に思ったのですが、今回のリミックス盤でさらに心に残るアルバムを出してくれてよかったです。2001年に出たオリジナル版は、猛烈な勢いで売れたにも関わらず、大量に扱っていたアメリカの大手ディストリビューター(今は存在しない)が、倒産と同時に各レーベルへの支払いを滞らせたまま行方をくらませたそうで、あんなに売れた「Endless Summer」の収入のほとんどが、メゴに入ってこなかったそうです。悲しい話。アーストワイルはまだ扱う量が少なかったおかげで、それほどの損害を被らずにすんだそうですが、メゴにとっては痛い打撃ですよね。世界を代表する電子音響レーベルでありながら、そんなさんざんな目に遭っていたとは、前回メゴのオフィスを訪ねるまで知りませんでした。この「Endless Summer」のリミックス盤が再びヒットして、その収入が今度こそ、メゴとフェネスに届いてほしいものです。


それにしても、アルスエレクトロニカのトロフィーを,自宅のトイレの窓に飾っていたピタのユーモアはなかなかのものだと思いました。