Tandoori Chicken w / Butter Chicken Curry


タンドリーチキンとバターチキンカレー、4度目の挑戦でようやく、それらしい見た目と味の料理ができました。詳しいレシピは下記に。大きい写真は、こちらに。

それにしても料理の写真というのはなかなかタイミングが難しい。前に日本でレストランのメニューや広告用のケーキなどの物撮りをしていた時は、背景とライティングと露出をあらかじめ決めておいて、後は店の人が次々と運んでくる料理を片っ端から撮影していけばいいだけなので楽だったけれど、自分で作った料理を皿にきれいに盛りつけて、冷めないうちに(早く食べたいしお腹も減っているし)急いで撮影するというのはとても難しい技である。今日は、何枚か撮り終わっていざ食べ始めたら、サフランライスを盛りつけるのをすっかり忘れていたことに気づいた。ああ、この黄色いライスが乗っていれば完璧だったのに…などと後悔しながら食べるというのも、なんだか悲しい。それでも味の方はなかなか美味しくできたのでとりあえず満足。あと一歩でサムラートのバターチキンに近づきそうな気がするのだけど、トマトとヨーグルトの酸味と、生クリームとバターのまろやかさと、長時間炒めたタマネギの甘みと香辛料のバランスには、もう少し研究の余地がありそう。

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タンドリーチキンというのは、インド料理に使われるタンドールという高温の釜で焼くのが本来の方法なのだけど、家庭用のオーブンで焼くレシピを見ると「設定可能な最高温度で15〜20分」と書いてある。が、オーブンを最高温度にまで熱したりしたら何だか煙がもくもく出てきそうな気がして、怖くてちょっとできない。なのでオーブンとしてはかなり高めの425F(摂氏なら約210C)に設定して、火にいちばん近い最上段で焼いてみることにした。本当はブロイラーの強火で炭火焼風に焼く方が、表面にかりっとしてきれいな焦げ目がついて見た目はずっと「タンドーリ」らしく焼けるのだけど、これは焼き時間が難しく、ほんの少し焼きすぎても中身がぱさぱさになってしまう。同じく425Fのオーブンでも中段で焼くと、中身はジューシーになるのだが表面がかりっと仕上がらないので、タンドーリというよりインド風味のグリルチキンという感じになってしまう。なので、今のところ425Fのオーブンの最上段で20〜30分焼くというのが最も無難な方法のような気がする。

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■タンドリーチキンのレシピ


アメリカの料理番組で紹介されていたインド人女性シェフによるレシピと、ネットで探した他のインド人シェフによる英語のレシピ、Madhur Jaffrey という在NYの有名なインド料理研究家の本2冊を参考にして、何度か分量や焼き方を変えて作ってみた後、とりあえず納得できたレシピを載せておきます。(※1カップは250cc)


1) 小ぶりの鶏一羽分(1.2キロ位)の骨付きもも肉2枚、ドラムスティック2本、胸肉2枚を冷水でよく洗い、水気をとって皮をはがします。もも肉と胸肉の各々に包丁で骨に届くまでの深い切れ目を、筋に交差するように3つずつ入れ、ドラムスティックは表と裏の2カ所に縦に切れ目を入れておきます。(こうして切れ目を入れておくと、タンドリーソースが浸透して味がよくつき、肉も柔らかく仕上がります。)

2) 小さなボールに塩小さじ1、レモン汁1個分、チリパウダー小さじ1を入れてよく混ぜ、これを鶏肉各片の表面にまんべんなく塗り付けます。(切れ目の中にもしっかり塗ります。)そのまま20分ほど置いておきます。

3) タンドリーソースを準備します。大きめのボールに、ヨーグルト大さじ6、生クリーム大さじ7、すりおろしたショウガとニンニク各大さじ2強、クミンとサフラン各小さじ1、ガラムマサラ小さじ2、パプリカとオニオンパウダー各小さじ1を加えてよく混ぜ合わせます。この中に鶏肉各片を入れてよく馴染ませ、ボールをラップで覆い冷蔵庫に6〜24時間入れておきます。(長く漬け込むほど味がしみて美味しくなります。)

4) ラックを乗せたトレーに鶏肉各片を並べて、425F(210C)のオーブンの最上段で20〜30分焼きます。途中10分後くらいに一度取り出して、鶏肉の表面に溶かしバターを塗ります。鶏肉に竹串を刺してみて、透明な汁が出れば火が完全に通っています。(胸肉は骨付きもも肉より少し早めに焼き上がるので、焼き過ぎに注意。)焼き上がったタンドリーチキンを皿に並べて、レモンを添えます。


■タンドリーソースについての追記

タンドリーチキンのマリネ用ソースにはヨーグルトのみを使うレシピが多いのですが、生クリームも加えた方が酸味が抑えられて、まろやかな味に仕上がるようです。ヨーグルトの代わりにバターミルクを使う場合もあるようで、次回はこれで試してみようと思います。バターミルクはやや酸味のあるこってりしたミルクで、アメリカでは南部風フライドチキンやパンケーキやビスケットによく使われ、肉やパンケーキやビスケットを柔らかくしっとり仕上げる効果があります。(普通の牛乳200ccにレモン汁か酢小さじ4強を加えてよく撹拌し、15分ほど置いておくと自家製バターミルクができるようです。)日本ではタンドリーチキンというと、角切りの鶏の胸肉が出てくることが多いですが、胸肉よりも骨付きもも肉の方が中身がパサついた感じにならず、柔らかくジューシーに仕上がります。あと、オニオンパウダーではなくタマネギ小1個のみじん切りを加えてもよいです。


■タンドリーチキンの色

タンドリーチキンというと鮮やかなオレンジ色という印象がありますが、あれは赤い合成着色粉を使うからだそうで、インド人女性シェフの本によると、健康のためには使わない方がいいとのことです。なので、このレシピだと仕上がりは茶色っぽい黄色になります。


■残ったタンドリーチキンの使用法

胸肉の部分のタンドリーチキンは、残ったら冷蔵庫に保存し、翌日少量のカレーソースにあえて、タマネギの薄切りスライスとホット・チリソースとシラントロのチャツネと一緒に、インド食材店で買ってきた「パラサ」という丸い薄焼きパンに包んで食べると、とても美味しいです。フライパンに油を薄く伸ばしてパラサの両面をさっと焼き、これに巻き寿司状に材料を巻いてアルミホイルで包んでオーブントースターで温めて食べるのですが、これは「カティ・ロール」という名前のインド風サンドイッチを真似したものです。本物のカティ・ロールは串焼きにしたタンドリー風味のチキンやビーフをタマネギのスライスやソースと一緒に巻いたもので、NYのウエストヴィレッジのマクドゥーガル・ストリートにある「Kati Roll Company」というファストフード風の店がとても美味しいと評判です。

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■バターチキンカレーのレシピ


日本のサムラートでよく食べていたバターチキン(Makkhani Murghi)のカレーが好きだったのでレシピを探してみると、バターチキンの作り方というのは実に様々で、焼き上がったタンドリーチキンをトマトピューレーと生クリームと生姜と香辛料を混ぜたソースにさっとあえてバターを加えるだけという簡単な方法もあれば、タンドリー味にマリネした生の鶏肉を最初に炒めてからトマトピューレーや生クリームやバターを加えて煮込んで完成させる方法もある。ヨーグルトを加えるレシピもあるけれど、ヨーグルトを使うと全体の酸味がやや強くなるので、まろやかな味に仕上げたい場合は生クリームの方がよさそう。どの作り方がいちばんサムラートのバターチキンに近い味になるか、いろいろ試しながら現在も模索中。

【レシピその1】

Madhur Jaffreyという在NYのインド料理研究家のレシピで、あらかじめ用意しておいたソースを温めて、そこに焼き上がったタンドリーチキンを混ぜるだけというもの。もっとも簡単な作り方なのだけど、炒めたタマネギからじっくり煮込んだソースよりも味がしっかりつくような気がするので、今のところ一番気に入っている。具に使うタンドリーチキンは、オーブンで焼き上がったら、熱いうちに好みの部位をこのカレー用に少し切り分けて、あらかじめ用意しておいたソースにさっと絡めて、タンドリーチキンやナンと一緒に皿に乗せて出すというもの。簡単なので、タンドリーチキンを作る時には、このカレーも合わせて作るとよい。

1) トマトピューレー大さじ4に水を足してカップ1の分量にし、そこにすりおろした生姜大さじ1、生クリーム300ml(好みで調節)、ガラムマサラ小さじ1、塩小さじ3/4、砂糖小さじ1/4、グリーンチリペッパーのみじん切り1個分、カイエンペッパー1/4、シラントロ(パクチー)のみじん切り大さじ1、レモン汁小さじ4、クミンシードの粉小さじ1を混ぜ合わせておく。(このソースはあらかじめ前日に材料を混ぜて用意しておいてもよい。)生クリームの分量は最初は少なめに混ぜて、味を見ながら好みのまろやかさに加減してもよい。(※ ヘビークリームよりライトクリームの方がしつこくならずによい。)

2) フライパンを熱し、無塩バター100gを加えて、バターが溶けたら(1)のソースを流し込み、中火で1分間バターとソースを混ぜながら煮る。

3) これに食べやすい大きさに切ったタンドリーチキンを加えて、全体にソースを絡め、温かい皿に盛る。フライパンに残ったソースを上からかけて完成。