yukoz2005-04-24

私は春があまり好きではないので、4月というのはほんとにつらい。ニューヨークに来てようやくあの東京の排気ガスと花粉の入り混じったつらい花粉症から解放されたと思ってホッとしていたら、なんとこのジャージーシティの近所はけっこう桜みたいな木がたくさんあって、3日くらい前からまた花粉症らしきものが再発してしまった。家の周りを取り囲んでいた大きな樹木が実は桜の木だったと気づいたときには、時すでに遅し。毎日が花見状態とも言えるのだけど、火の粉のように花粉が舞う地獄火の中で暮らしているような気分である。しかもここの桜は日本の桜と違って、花の寿命がやたらと長い。かれこれ10日間くらい咲いている。桜は散るからこそ美しいのであって、散らない桜というのはまるで鳴り止まないパチンコ台みたいに、存在がうるさい。ピンク色というよりは緑色がかった白い花なのだけど、桜じゃないのか、この花は。

もともと大多数の人が好むものにはあまり興味をもてない性格だというのもあるけれど、春が来たといってはしゃいでいる人たち(特にアメリカ)のあの妙に浮かれたハイなテンションに囲まれていると、頭のまわりを蜂がぶんぶん飛び回っているようで、ほんとにうるさい。どこか北の果てに逃げ出したくなる。かーっと強い日射しが照りつける夏はけっこう好きなのだけど、この何もかもが中和されたぬるま湯のようなほわんとした気候の中でじっとしていると、ほんとに何もやる気がしなくなる。そういう時には、とにかく動くこと。何でもいいから身体を動かすこと、と毎日山登りでもするような気持ちで乗り切っている。ウィーンとか北ドイツとか、どこか冬が長くて夏が短くて春がほとんどないような国で暮らしたい。冬の嫌いなウィーン人がいたら住居をトレードしたい気持ちだ。