Christo 『The Gates』の写真


先日撮ったクリストの「The Gates」の写真を見直してみたら、この作品の素晴らしさに改めて気づかされた。実際に見たときは思ったより地味だなあと感じたのだけど、よくよく見ると、公園の自然との「色」の調和といい、遠景の高層ビルとの「形」の調和といい、オレンジ色のビニール素材の光の透過具合といい、文句なしといえるかもしれない。旗が風になびく時の曲線と木の枝の曲線がとてもマッチしているし、オレンジ色と太陽光の相性もすばらしい。旗のひだと、そこに映る小枝の陰影、光の揺れは、まさにアートの七変化を見守っているかのよう。奇をてらっただけの一発勝負のアートとは違い、じっくり調和というものの大切さを考え抜かれた上でのプロジェクトなのだなと感じる。計画してから実現まで24年もかかったというけれど、こういうアートが公に認められる時代になったのかと思うとけっこううれしい。