久々に電車に乗って外出。といっても、取材の仕事が入りでもしなければ電車に乗って都心に行くなんてことをまったくしなくなってから久しい。夕方6時以降の新宿方面行きの上り電車のがらがらに空いている車内は、心が躍る。が、新宿で下りたら通勤帰りのすごい人混みにあたってしまって、やはりたじろいだ。それにしても初台というのはなんて行きづらいところにあるのだろう。東京オペラシティのコンサートホールなんて、仕事じゃなければたぶん一生行かない場所だったかもしれない。ものすごく広いホールだったけれど、音響は思ったほど拡散していなくて、意外にもまとまりがあって良かった。今日は撮影をしなくてもよかったので、久しぶりに演奏を聴くのに集中できた。

いつも思うけれど、写真を撮っている時と、音楽を聴いている時は、脳の違う部分が働いている。視覚と聴覚を同時に全開にして刺激を吸収するというのは、二カ国語の放送を同時に聞き取ろうとしているようで大変なのである。シャッターを押すその瞬間、耳は一切の音の侵入を受けつけない。音楽に心を打たれるその瞬間、心は目に映るものとは違うものを見ている。