Backfabrik in Berlin


ベルリンのフェスティバルが開かれたBackfabrikという会場は、ふだんはコンサートというよりは、ファッションショーやデザイン家具やアートの展示会などに使われているようだ。コンクリート打ちっぱなしのがらんとした天井の高い体育館のような広さのスペースで、音が響きすぎないようにあちこちに布やカーテンを引くなどして、音響的にはとても苦労していたようである。でも撮影場所としては、最高のロケーションだった。大きな窓から差し込む光が、床や壁の白いコンクリートに反射して、部屋全体を白く明るい光で満たしていた。ちょうど撮影スタジオのような条件である。明るい窓と室内の被写体とのコントラストのバランスをとるのが難しかったけれど、白っぽくなるようにオーバー目の露出で撮影したり、被写体が影のように写るようにアンダー目に撮影してみたり、いろいろ工夫できて面白かった。

ベルリンの街や建物の、がらんとした巨大な空間にはとても惹かれた。狭い通りにごちゃごちゃっと広告板や張り紙やこまごまとした商品がひしめきあってディスプレイされている東京やニューヨークとは正反対に、ベルリンでは広すぎるくらいの開け放された空間の中に、ぽつんと小さく何かが置かれているだけだったりする。東ベルリン地区では、広告もほとんど見かけなかった。緑の街路樹と、広々とした歩道と、アーティストたちが集まるカフェしかない静かなエリアが印象的だった。昼も夜も、店から騒がしい音楽が溢れ出すことはなく、通りはいつもしんとしていた。

ニューヨークに行ったら、ベルリンやウィーンみたいな、静かなアーティストが集まるような場所を作りたい。そこでは、ウィーンの電子音響とかを一日中流していようと思う。