iPodを聴かなくなったこと

iPodを片時も話せなかった時期というのは、ちょうど日本からアメリカへ移住する前後の頃で、iPodというのは、これから劇的に変化する生活環境の中で何とか自分を保ち続ける上で必要な道具だったのかもしれないと、今になると思う。特にアメリカに住むようになってからは、iPodを介して自分と外界の様々なノイズとの間に一枚の壁を作ることで、自分に対してネガティブな影響を及ぼしそうな周囲をシャットアウトしなければ、自分を保てないような気がする時期もあった。でもこの1年くらい前から、そういえばiPodで音楽を聴くということが全くなくなった。もうiPodの助けを借りなくても、自分の居場所というのを自分の意志で保てるようになったということなのかもしれない。東京とニューヨーク間を飛行機で移動する時も、今はiPodがなくても、自分の脳内で他方の環境への順応の準備ができるようになったと思う。何にしても、諸々のネガティブな外界のノイズから自分を守ってくれていたiPodに感謝。