ヒューストンの美術館コンサート


6月1日と2日に、テキサス州ヒューストンの美術館で開催された「Sound Observations」に行ってきました。出演は、1日がロスコ・チャペル内でローレン・コナーズとキース・ロウの各ソロ、2日が「メニル・コレクション」美術館のリッチモンド・ホールで、Sachiko Mとショーン・ミーハンのデュオです。

「メニル・コレクション」美術館は、ヒューストンのモントローズという緑の多い閑静な地区にあり、石油会社の財産を相続した資産家ジョン&ドミニク・デ・メニル夫妻の収集作品が展示されています。抽象表現主義の作品が中心で、マーク・ロスコピカソモンドリアン、バーネット・ニューマン、マックス・エルンスト等から、ウォーホールポップアートまで、なかなか良い趣味のコレクションが揃っています。しかも、混雑したMOMAとは違い、無人の広々とした空間でゆっくり1枚1枚の絵を鑑賞できます(しかも無料)。ニューヨークやビーコンにある「Dia」とも提携しているそうで、「Dia」系のアートが好きな人にはたまらない場所かもしれません。コンサートが開かれたリッチモンドホールには、ダン・フレーヴィンの蛍光インスタレーションが展示されていました。
http://www.menil.org/


ロスコ・チャペルは、メニル夫妻が晩年のマーク・ロスコに製作依頼をした無宗派の教会で、ロスコが自殺する2年前頃に描かれた黒い色調の3連画など、ロスコの晩年の作品が展示されています。これらの絵画も、このチャペルのために依頼されて製作されたそうです。紫がかった黒や赤みのある黒で描かれた巨大な絵画は、天窓からの光の射し込み具合によって微妙に色合いや模様が変わり、あたかも命が宿っているかのような錯覚を覚えます。ローレン・コナーズもキース・ロウも、それぞれにロスコに捧げる音楽を過去にCDに残したことがあり、今回のコンサートで演奏するのをとても楽しみにしていたそうです。各ライブの感想はまた後日に。