アメリカの空

yukoz2005-03-09

あまりにも大雪が多かったせいか、いつもはあまり好きではない夏を懐かしく思うこの頃。夏をもっともリアルに感じさせる音楽は、私にとってはフェネスの「エンドレス・サマー」と大滝詠一の「ロング・バケーション」の2枚である。この両者に共通しているのは、どちらも非アメリカ人がアメリカ西海岸の夏を夢見て作った音楽だということにふと気づいた。

アメリカのすごいところは、外国の人々に長い間「アメリカ的なもの」への憧れと夢を抱かせてきたことだと思う。アメリカの音楽や映画や小説と出会ったおかげでつらい時も明るく前向きになんとか乗り越えて生きてこられたという人はけっして少なくないはずだ。私も学生の頃はいろいろ嫌なことがあってもいつもアメリカの映画や小説の世界に逃避することで落ち込まずにすんだことが多々あるし、ジャズやロックやポップスを含めてアメリカの音楽がなかったらずいぶん味気ない人生を送っていただろう。アメリカの青い空、を夢見ることで、いろんなネガティブなものを乗り越えられたような気がする。アメリカの外にいると、政治的な面ばかりが目についてほんとにひどい国だと感じるけれど、国内にいるとアメリカの生活ならではの心のゆとりとか人間のおおらかさとか、日本にいたらたぶんストレスの重圧に押されてとてもじゃないけど得られないものをたくさん得られる。中華料理だって1皿6ドルくらいで2食分か3食分くらいの量が出てくるし(大きなエビが20個くらい入っているし)、食材も日本に比べるとはるかに安い。仕事や家庭のストレスでキレそうになっている人も身の回りにはあまりいないから、八つ当たりの危険にもさらされなくてすむ。(日本にいたときは怖かった…。アメリカに来なかったらたぶん胃潰瘍だってこんな風に全快しなかっただろう。)生活や文化の面でこれほど恩恵をこうむってきたのだから、この国の指導者のやり方が嫌いだからというだけの理由でアメリカのすべてを否定するような言動をしてはいけないなとこの頃つくづく思う。