そういえば一年前の今日、ウィーンに行ったんだったっけなと、ふと思い出す。アメリカの人たちにはとてもお世話になっているし、昨日の感謝祭の日も楽しく過ごせて、外国人でありながらもこんなに温かく受け入れてもらえるなんてほんとに感謝しているのだけど、こうアメリカンな催しが次々と続くこのホリデイ・シーズンは、たまにこのアメリカ生活から逃げ出したいという衝動にも駆られる。アメリカンな伝統にのっとって家族や友人と濃い時間を過ごすというのは、日本のお正月と同じでちょっと息がつまる。

こういう日には、思い切り「アメリカ的なもの」から逃避することにしている。Pita の「Get Out」をiPodで聴きながら地下鉄に乗ってイーストヴィレッジに出て、日本人がやっている最近話題のラーメン屋にとんこつラーメンを食べに行き、帰りに St. Marks Place の日本食スーパーに寄って、和菓子だのほうじ茶だの緑のたぬき(うどん)だのポッキー(ロイヤルミルクティ味)だのを買い込む。こういう日本食屋での買い物が、アメリカにいる時の必須の精神療養行為なのである。通りですれ違う、いかにもアメリカンな空気をふりまいているわさわさした人々は、存在しないものとしてあくまでも無視する。そういえば、休日の渋谷の雑踏を歩いて憔悴しきった時も、Pita の「Get Out」を聴いて癒されたんだったっけなと思い出す。どこの国にいても、癒される音楽というのが同じというのはおもしろい発見である。