自分の部屋の窓をもっているというのはとても幸せなことだと思う。想像力というのは、いつも窓から眺める景色を通して生まれるものなのかもしれない、などと思いながら、一日部屋で久しぶりにカメラと遊ぶ。窓越しに向かいのアパートの住人の窓を眺めていると、ポーランド映画を観ているような気持ちになれる。

一昨日は、アッパー・イーストサイドの Neue Galerie で20世紀初頭のドイツの「Comic Grotesque」という展示を観てきた。マックス・エルンストマックス・クリンガーのなどの他に、ライオネル・フェニンガーというウィーンの画家の風景画の濃い青が印象的でとても気に入った。ドイツやウィーンのアートは、こういう深い青や緑がとてもきれいだ。隅のブースでは、1920年頃のドイツのサイレント映画ブレヒトも共同製作した作品)も上映されていた。モノクロのサイレント映画というのはぼんやり眺めていると不思議と心がなごむ。戦前のドイツでヒットラーや戦争勃発に強く反対していたベルリンのアーティストたちが残した、ブラック・ユーモアあふれる風刺作品の数々。

別の階では、常設と思われる19世紀末ウィーンの画家クリムトエゴン・シーレの作品も展示されていた。この美術館の1Fにはウィーン風のカフェもあって、ちょっとニューヨークにいるとは思えない独特のヨーロピアンな雰囲気がある。