先日アメリカのテレビでも放映された英BBC制作のテレビコメディー「The Office」のクリスマス特別編が、英国アカデミー協会と米ゴールデングローブ賞を獲得したらしい。去年、シリーズ物として観ていた最初の頃は、イギリス人独特のユーモアがよく理解できなくて、いったいどこがおもしろいんだかと思っていたのだけど、何度か観ているうちにビミョーにおかしいシチュエーションにけっこうハマってしまった。

しがない会社のオフィスのしがない社員のだらだらとした日常をドキュメンタリー風に描いているのだけど、下品なおやじギャグで浮いてしまう上司とか、シャイで恋心がすれ違ってばかりのオフィス恋愛の感じとか、お国が違うとはいえ日本人にとってもけっこうリアルでおもしろい。しらーっとした空気なんだけど、アメリカのぎゃあぎゃあ叫んでばかりいる興奮気味のコメディよりも、ずっと味わいがある。先日放送されたクリスマス特別編の結末は、まさかと思うようなエンディングで、ほろりと泣けてしまった。なんだろう、この胸を打つリアリティは。今どき、こんな風に直球をくらったように心を打つテレビ・コメディがあるとは。元々のシリーズは、ほんとにこんなのテレビで流してどうするのかと思うほど薄ら寒いジョークが飛び交っているのだけど、実際オフィスの職場というのは案外そんなもんなんだよなあ、というところにすごいリアリティがある。…と某公共放送局の職場を思い出したり。