今日の午後、アメリカ大使館の面接に行って、ビザをもらってきました。祭日の午後だったせいか、思ったより空いていて、あまり待たずに「はい、問題ありませんね。どうぞ」という感じに、すんなりともらえてちょっとびっくり。ああ、これで明日にでもアメリカに飛んで行けるんだと思ったら、とたんにすーっと気持ちが楽になった。というか、重い荷物をごそっと肩から下ろせたような気持ち。なんだろう、この心境の変化は。

アメリカ、なんかこの頃怖いし、やだなー、と心のどこかで思いながらも、大使館の中に入ったとたんに、ああこの温かさが好きだったんだと思い出した。大使館の周囲200メートルくらいに渡って厳重な警戒をしているし、その近くを通るだけでも「何かご用ですか?」と警備員に聞かれるし、この警戒体制は桜田門の警視庁どころではない。冗談のつもりで塀の中に石ころでも投げ込んだりしたら、間違いなく逮捕(もしくはその場で銃殺)されかねない殺気がある。ちょうど、NYのグラウンドゼロを3ヶ月後に訪ねた時と同じような緊張感だ。にもかかわらず、空港並みの持ち物検査をひとしきり終えて一歩その門の中に入ると、その場所のなんと温かいことか。アメリカ人も日本人スタッフもにこやかにてきぱきに楽しげに働いている。緊張して面接を待っている人たちを、安心させてくれるようなユーモアとおおらかさ。そう、アメリカってそういう場所なんだと、その風景を見て久しぶりに思い出した。目の前にいる人を、頭で分析する前に、まず心の目で見るということ。一人一人の人間が、そうやって人と接している。怖いのはアメリカの指導者かもしれないけれど、国民も兵士もある意味でその大きな犠牲者であるということ。

日本にいると、一人一人の人間が怖い、と感じてしまうのは、たぶん私が長い間アメリカの空気に慣れてしまったせいかもしれないけれど、アメリカにいると、一人一人の人間を信じることができる。NYで週末の深夜に地下鉄が止まっているのに気づかずにホームで待っていたら、「この電車、今日は来ないわよ」と気になって声をかけてくれた黒人の女性のこととかを、ふと思い出したりした。