ホンダのビート


12年間乗っていた愛車(ホンダの白いビート)をついに手放さなければならなくなったので、目下、いくつかの中古ディーラーと交渉中。今までエンジントラブルも一度もなく、私の不注意でバッテリーが上がってしまったとき以外は、ほとんど問題もなかったし、高速を飛ばしても軽自動車とは思えないくらいしっかりと安定した走りで、とても気に入っていた。

東京から富士山の裾野に移って地方新聞記者の仕事を始めたときに、田んぼのあぜ道も走れるような小さな車で、しかも高速を走っても安全な車が必要だったので、当時話題になっていた軽のオープンカーのビートを買った。アルミホィールに付け替えて、六連奏スピーカーを付けて、高速をがんがん飛ばして(といってもせいぜい120キロくらいだけど)走っていた。当時のCMコピ−「遊んだひとの勝ち!」(糸井重里)というキャッチフレーズもとても好きだった。めったに大きな買い物はしないのだけど、このビートと初代iMacは、もうあの革新的に美しいデザインにノックアウトされて買わずにいられなかった。

軽でありながらも、これほど安定性のある、走っていて楽しい車というのは他にないと思う。日本製の車で唯一デザインが気に入った車でもあった。と思っていたら、偶然だけどこの車の外観デザインを担当したのは、小学校と中学校で同級生だった男の子(絵がものすごく上手だった子)だということを、ある日雑誌の記事で見つけてびっくりした。美大を受験するのだと言って、うちの父親にアドバイスをもらいにきたことがあるので、よく覚えている。こんないいデザインの車を作ってくれるなんて、いい大人に育ったものだ。その後、すぐに製造中止になってしまったのは、とても残念だ。白いビートというのはかなり珍しいらしく、中古で欲しいというマニアの人もけっこういるらしい。