The scene before J-pop

この夏からアメリカへ移住してしまうという当初の予定だった頃に、アメリカに行ってしまったらたぶんいつか日本のポップスが恋しくなるだろうなと思い、中学・高校の頃によく聴いていた大滝詠一の「ロング・バケーション」と山下達郎の「Melodies」をAmazonから買ってあったのを思い出して、今iTunesに入れがてら聴いている。もうこれだけで年がばれてしまいそうなあぶない2枚の盤だが、何よりもほとんど当時から変わって(成長して)いない自分の精神がこわい。

一時、洋楽に走っていた頃は日本のポップスなんてしょせん洋楽のコピーでしょと小馬鹿にしていたけれど、今聴き直してみると、あの悪名高きメジャーレーベルのプロデューサーに市場を支配される以前の古き良き時代の日本のポップスには、なかなかあなどれないものがあったのだなと実感する。なんというか有無を言わせずに心をストレートに打つ、歌心というよりは歌魂とでもいえるすごみがある。音質もなかなかいいじゃないですか。「恋するカレン」のベースの重低音の入り方なんかもう見事である。LPの頃のアナログ感とCDのクリアな音質のバランスも予想以上にすばらしくて感動している。それにしても、2004年の夏にフェネスを聴くのと同じノリで大滝詠一を聴いてしまう自分の耳もこわい。